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掲載:2011年7月7日
 
 このたび、東日本大震災により被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。被災地が一日でも早く復興されることを心よりお祈り申し上げます。
 本協会は泥土処理に携わる排出事業者、材料・機械メーカー、産業廃棄物処理業者がそれぞれ立場から問題提起を行い、土木工学や応用化学の専門家等の意見ならびに異業種分野からの情報を多面的に取り込むことにより技術の革新を促進しています。そこで、これまでの成果である会員企業が保有する技術をオープンイノベーションすることで震災復興に寄与できると考え、ご提案するものです。

1.津波により堆積したヘドロ処理

 東日本大震災による津波で沿岸部に打ち上げられたヘドロの量は、被災地4県で推計最大1,600万tに上ります。ヘドロの処理は市街地を除きほとんど手つかずの状態であり、自治体にとって大きな負担となると見られています。6月14日現在、環境省では有害物質を含まない場合は、通常の土砂として掘削後の埋め戻し利用も可能であるとしています。
 一般には、ヘドロのように液相を呈し流体状となった高含水土砂(以下、泥土)を地盤材料等として再利用するためは、第1〜3種建設発生土相当の品質要求性能を満足する改良土に改質することとされており、この改良土を生成する「現行技術」として、土質改良:セメント系固化剤添加(スタビライザーor自走式土質改良機)が想定されていました。しかし、この工法は発生土の含水状態が塑性限界〜液性限界にあり、多少なりとも土の骨格構造を有する地盤の改良に適用される技術(以下地盤改良技術と呼ぶ)であり、泥土のように液性限界を越えた場合や掘削に伴い骨格が乱され流動を伴う材料(泥土)を改良(以下泥土改良技術と呼ぶ)するには適しておらず、このように泥土を低廉で品質性状の安定した土木資材に改良するには様々な技術課題を克服する必要があります。
 そこで、これらの課題を克服すべく、本協会の会員企業が相互に開発した、必要最小限の固化材を用い、高含水泥土を直接的かつ連続的に、しかも、高効率で粒状固化できる経済性に優れ、環境にやさしいヘドロ処理技術をご提案します。推奨する技術は、これまで多くの泥土リサイクル実績があります。

2.津波による塩害田畑の除塩対策

東日本大震災に伴う津波により、東北から関東にかけて海岸地域の農地の一部が流失、冠水の被害を受けました。農水省は3月28日、被害推定面積は6県合計で2万3,600ヘクタールと公表しています。
 海水に浸かった農地は今後、塩害の発生が懸念されており、政府はその対策を行うことを閣議決定しています。水田の場合、塩分濃度が0.4%を上回ると、稲の生育に支障をきたすと言われていますが、0.1%程度でも影響は避けられません。
 従来,農地の除塩対策は以下の手順で行われています。(農林水産省−「農地の塩害と除塩」抜粋)

 一般に,耕土を形成する粘土粒子は負の帯電状態にあり,耕土に海水などが浸水すると,粘土コロイドにNaイオンが吸着して塩類が集積され植物の生育阻害の原因となります。このため,灌漑用水が豊富な地域では,用水の供給と排水による循環により塩類を除去することが最も経済的であり確実な方法であるとされています。しかし,用水が十分確保できない場合には,Caイオン源の改良材を散布し,イオン交換作用の効果を利用し土壌コロイドに吸着したNaイオンを除去することが不可欠であるとされています。すなわち,Ca資材の施用は土壌コロイドのカチオン吸着特性が,Ca>Mg>K>Naであることに起因しています。

 直接的なCaイオン源として利用される改良材は,塩化カルシウム(CaCl2・2H2O),天然石膏,リン酸石膏,脱硫石膏,リサイクル(廃石膏ボード)石膏石灰(CaCO3)が挙げられます。塩化カルシウムは高い溶解性を示し,石膏などより効果的であると言われていますが,効果が一時的な期間に限られます。また,石灰は,使用量によってはアルカリ土壌に生成する可能性があり,溶解度,利便性などの観点から,セッコウを改良材として選定することは適切であるといえます。 そこで、被災地では今後、新しい土壌を足したり、入れ替えたりするなど、土壌改良が必要となりますので、除塩効果の高い「セッコウによる土壌改良」についてご提案します。

 

3.震災復旧工事に伴い発生する建設汚泥リサイクルの促進

 震災復旧工事の中には、地盤改良工事等において多量の建設汚泥※が排出されますが、放射能汚染により産業廃棄物として受け入れられることができない地域もあり、率先して自ら利用等によりリサイクルする必要があります。
 排出事業者がリサイクルを促進するには、産業廃棄物を扱っているという認識を持ち、適正処理するための技術的な取り組みだけでなく、関連法令の知識とその適切な解釈、さらにはリサイクル処理の適切な施工監理が重要となります。
 そこで、現場の条件に合わせたリサイクル方法ならびに処理技術の提案、更には適正な法解釈についてご提案します。


 建設汚泥とは国土交通省監修の「建設汚泥リサイクル指針」によると「掘削工事から生じる泥状の掘削物および泥水を泥土といい、このうち廃棄物処理法に規定する産業廃棄物として取り扱われるものを建設汚泥という。」としている。
 具体的には標準仕様ダンプトラックに山積みできず、その上を人が歩けないような流動性を呈する状態(コーン指数がおおむね200kN/m2以下または一軸圧縮強さがおおむね50 kN/m2以下)のものであるが、標準仕様ダンプトラックに山積みできるものであっても、運搬中に流動性を呈するものは建設汚泥に該当するとしている。なお、(1)泥土に該当する浚渫土、(2)泥水などを使用しない地山掘削から発生した泥土、(3)そのままの状態で他者に売却するもの(余剰泥水の再利用、スラリー化安定処理の調整泥水等)は除外されており、以下に具体例を示す。

・地盤改良工事排泥(高圧噴射攪拌系)
・SMW工事排泥(セメントスラリーと現位置土砂の混合)
・アンカー工事排泥(セメントスラリーと現位置土砂の混合)
・基礎杭工事排泥(泥水などを使用しない工法は除く)
・泥土圧シールド工事排泥(泥土圧・気泡・泥水式)
・推進工事排泥 ・ため池、調整池浚渫土(農業用水の確保等の利水事業目的で利用されるもので、人為的に作られた池から発生した土砂)
・オープンケーソン掘削土(水中掘削)

 



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〒492−8266 愛知県稲沢市横地町12番地  
泥土リサイクル協会 事務局  担当者 : 野口、西川
Tel : 0587-23-2713 Fax : 0587-23-2734
 
 
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