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●泥土リサイクルの動き(東京都、大阪府等)                          掲載:2008.2.8
  建設汚泥リサイクルに向けて、施策は平成17年度から国レベルでの具体的な施策が進んできましたが、地方行政においても対応が目に見えてきましたので地方行政の動きとともに、「産業廃棄物処理業優良評価制度」についても概要をご紹介します。

 
産業廃棄物処理業優良評価制度について

 本制度は、中部地区における産業廃棄物の不適性処理が「産業廃棄物に係わる再生資源の活用審査制度」に繋がったように、香川県の豊島や青森岩手県境などの大規模な不法投棄の発生により産業廃棄物処理業に対する不信感が広がる中、平成15年1月に環境省の中央環境審議会において「排出事業者が自らの判断により優良な処理業者適切に選択できる仕組みづくり」、「産業廃棄物処理業界の優良化に対するインセンティブを付与すべき」等が意見具申され、それを受けて初められた国による優良化推進事業の中核をなす制度として平成17年4月1日施行されたものであり、目的は下記の3点とされています。

評価制度の目的
・排出者責任の強化を受け、排出事業者が優良事業者を選択するための重要情報の提供
・優良な産廃処理業者の育成   
・全国統一基準による運用(廃棄物処理法施行規則に準拠した制度)
 
 具体的には、優良性評価基準に基づき産廃処理業者からの申請を審査し、適合事業者名をインターネット(産廃情報ネット、都道府県・政令都市HP)等で公表することとしています。適合業者(評価基準に合格した業者)には、排出事業者等の情報発信・PR、自治体によるグリーン入札や補助金・税制優遇・事前協議免除・金融機関の低利融資制度等、許可申請手続き等の優遇、などのインセンティブが付与されるとしています。   
 産業廃棄物の適正処理にむけ、排出事業者責任の強化が行われるなか適正な処理業者及び適正な処理方法の選択が重要なポイントとなってきています。一方で、適正処理を行っている業者にとり正当な評価を受け、それが公表されることは重要なメリットであると考えます。本協会は、泥土リサイクル推進を目指して活動を行っていますが、このような情報発信は重要と考え今後も適宜実施していきたいと考えます。

行政の動向

●東京都の施策
 東京都は、平成13年3月に「東京都建設泥土リサイクル指針」を策定しこれまでに数回の改訂を行い、直近では平成21年4月に改訂を行っています。東京都の場合、東京都が具体的に明示した一体施工システム内処理土は建設発生土として、それ以外の改良土を建設泥土改良土と定めています。建設泥土改良土の工事間利用は、一般指定制度または個別指定により利用するものとしています。
 東京都の施策は、環境省が平成11年3月23日に公布した「建設工事等から生ずる廃棄物の適正処理について:衛産20号」及び平成13年6月1日公布の「建設工事等から生ずる廃棄物の適正処理について(通知):環廃産276号」の一体施工システムの範囲を拡大したこと、一体施工システム内で処理し一定の品質を確保した処理土は建設発生土として利用可能にしたことなどがあげられます。
 東京都のこの考え方は、環境省や他の地方行政の考え方とは異なる部分がありますが、環境行政は地域性や過去の経緯などを踏まえて策定されるものであり、東京都も同様の経緯で策定されたものと考えます。内容は、利用用途別に具体的な内容や提出書類・伝票類まで含み120頁程度あるものとなっています。下記に平成19年4月における主な改訂内容を記載します。(参考URL:http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/seisaku/recy/

主な改訂内容
・建設泥土と土砂の区分・取扱い方法を明確にすることにより、それぞれに適した処理方法が的確に選定できるようにした。
・泥水循環方式などの処理工法で建設泥土を一体の施工システム内で改良して有効利用を促進することにした。
・これまでの文章形式を表形式に改めてわかりやすく、かつ簡素化を図った。

●大阪府の施策
 大阪府は、平成19年7月1日より「大阪府建設汚泥の自ら利用に関する指導指針」を施行しており、その内容を下記に記載します。
 建設工事のおける掘削工事などから発生する「含水比が高く粒子が微細な泥状なもの」は、「建設汚泥」または「土砂」のどちらに該当するかの判断を行い適正処理が必要なことは周知のことですが、この判断基準の基本的な考え方は「建設工事等から生ずる廃棄物の適正処理について(通知):環廃産276号」によるもので、大阪府廃棄物担当行政庁(大阪府、大阪市、堺市、高槻市及び東大阪市:以下「五行政」という)は平成15年3月に「掘削工事などに伴う汚泥と土砂の判断区分」の策定し、より具体的な判断指針を示し運用してきています。
 建設汚泥リサイクル向上の施策として、中間処理業者を通した再資源化だけではなく、「自ら利用」による現場内での再生利用などについても新たに促進することとしています。
 本指針作成において検討・留意事項(ポイント)とされた内容を下記に記載します 。

発注者の役割について
 建設工事から生じる産業廃棄物において、排出事業者には元請業者が該当し、産業廃棄物を「自ら利用」で再生利用するのは排出事業者が行うことであることから「自ら利用」の実施者も元請業者が該当することになります。一方で、発注者は「自ら利用」を行う利用場所となる土地等の占有者(所有者)であることが多く、同時に建設汚泥の再生利用を行うかどうかについての意思決定にも強く関与することが多いとしています。これは排出事業者が建設汚泥を「自ら利用」で再生利用する場合の実例から、発注者に対し品質(強度他)・安全性を担保する資料・計画書を事前に提出し、同意を得て初めて「自ら利用」が実施可能となることから、発注者が「自ら利用」による再生利用の実施にも強く関与していることが理解できます。
 また、適正な再生利用の実施には、建設汚泥の処理する過程での品質管理等の施工管理が重要となることから、本指導指針では、発注前の環境担当部局との事前協議の実施、再生利用を行うことを発注仕様書に盛り込むこと、工事着工前に詳細な利用計画書を担当環境部局に提出等を元請業者に指導すること等を、発注者に求めています。

対処工事について
 本指針を適用する対象として、前述のように発注者を大きな役割を果たすことから公共工事及びこれに準じる工事としています。

再生利用計画書、実績報告書の提出について
「自ら利用」と称した不適性処理を防止する観点から、工事ごとに元請業者から事前に再生利用計画書の提出を受け利用条件の審査を実施、さらに完了後の実績報告書の速やかな提出と5年間の記録保存を求めています。 以下に概要を掲載します。

概 要
対象となる工事 国、地方自治体等が発注する建設工事であって、建設汚泥の発生が予測される工事
事前協議等 1)発注者は発注までに再生利用計画について環境部局と協議
2)元請業者は工事着工前に詳細な利用計画書を環境部局に提出
工事区域 府内工事に適用(五行政の区域毎に各々指導指針が適用される)
利用条件 1)再生物の品質確認⇒分析による無害の確認、強度試験等による品質確認
2)再生物の利用場所⇒工作物の本体又は工作物と一体的利用に限定
※土地造成、埋立処分場での利用は禁止     
 利用例:道路の路体・路床、堤防、建築物基礎の埋め戻し
3)再生処理、仮保管中の環境保全対策の実施⇒悪臭、飛散・流出防止対策
4)利用実績報告⇒元請業者は、利用実績を発注者、環境部局に報告
5)記録の保存⇒発注者、元請業者は5年間以上の記録保存


(参考URL:http://www.pref.osaka.jp/waste/sanpai/kensetsu_odei_shishin.html )

まとめ

 建設汚泥リサイクル向上に向けて、各行政により内容や施策は異なっても具体的に方向性を示しその範囲内で再生利用の促進を図っています。国の施策などを受けて、三大都市圏で具体的に動きが始まりました。今後も、各政令都市を中心に建設汚泥=建設泥土リサイクル向上への取り組みが進んでいくものと考えます。本協会は、会員の皆さんの要望などを踏まえ今後も行政への働きかけを実施していきます。
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